初恋のきた道


 レンタルショップに行けばどの映画も気軽に安く借りられるはずなのに、そのときの自分の気持ちにあわないと、どんなに話題作でも名作でも借りられない性格。300円くらいケチケチすんなと自分でも思うのだけど、やはり気分がピッタリこないとどうしても借りられない。フランソワ・オゾン監督の「8人の女たち」も、なかなか気持ちが合わなくていまだに借りれずにいるんだけど「初恋のきた道」も同じようにずっと借りれなかった作品。今回ようやく見れました。

 といっても感想とかレビューとかをしようというのではなく、映画の中に出てきた割れた陶器の修理シーンがとても新鮮だったので、ちょっと書いておこうと思っただけなのでした。

 主人公の女の子が村に赴任してきた先生にひとめ惚れして、当番の食事の世話の日に先生が好物だった餃子を用意。しかし先生はその日に突然故郷へ戻らなくてはならなくなり、それを知った女の子は陶器に作り立ての餃子を入れてハンカチで包み、必死で走って後を追いかける。でも、あえなく転んで・・・というシーンあるんですが、その場面で地面に落として割れた器を修理する職人の仕事ぶりがなかなか良いのです。

 作業の手順としては、まず割れた断面を刷毛で綺麗にして、元の形に破片を組み合わせた後にヒモで固定し、割れ目の両端に研磨剤を付けたキリ(昔の火起こし器みたいな)で貫通しない程度に穴をあけて、最後にフランケンシュタインの傷跡みたいに柔らかい金属で繋いでいく。こういう今では失われた(かどうかは知らないけど)職人の技を見れるのはなかなか貴重なのではないかと思ったのでした。

画像・キタイラスト0022

 あと、先生を待ち続ける女の子の服の肩の部分にいつの間にか継ぎ布がされてるのが芸が細かいですね。おそらく毎日の水汲みですり減ったんでしょうな。


Posted: 日 - 6月 26, 2005 at 07:05 午後