映画『コクリコ坂から』


 公開初日に映画『コクリコ坂から』(スタジオジブリ・宮崎吾朗監督)を観てきました。個人的には好きなシーンがたくさんあってとても楽しめました。映画の評価には賛否あるようですが私は大好きです。


 舞台が1963年の横浜ということで原作漫画とはだいぶ違うようですが、このころの日本の風景が好きでこの時代の古い日本映画を借りてよく観ていたもんですから、だいぶ自分の肌にあいました。

 主人公がてきぱきとご飯を作るシーンや、文化部の魔窟と化した建物「カルチェラタン」をめぐる学生たちのわっさわっさした感じが楽しいです。

 本筋にはまったく絡まない脇キャラですが、「ココリコ荘」の住人で画家の背の高い女性が、背中を丸めながら不器用に包丁を握ってる姿がとても気に入ってます。生徒会長もよかったですね。これってキャラ萌えってやつでしょうかね。映画の尺を伸ばしてこのカルチェラタンとコクリコ荘をもっと長く見ていたいなあと思ったくらいです。

 今回は珍しく映画を見る前に原作を読んだんですが、原作と映画では結末が変更されていました。されてるんですが……でも主人公の母親の行動をみてると変更したように見えてじつは原作と同じ結末ではないのか? とちょっと疑ってます。このあたりもう一度確かめてみないとよくわかりませんね。

 Twitterでの反応ですが、映画を観た一般のお客さんの感想はおおむね好評ですね。しかし映画の内容が1960年代のファンタジーも活劇も無い昭和の物語なので、いつものジブリ映画を期待した方や小さなお子さんを喜ばそうとやってきたお母さん方には退屈でガッカリという方も多かったようです。

画像・キタイラスト0161

 私個人としては非常に楽しくて好感触だったんですが、アニメーション演出家のような映像のプロの目からすると経験の浅い宮崎吾朗監督の演出はやはりちぐはぐで雑な作品に見えるようです。厳しく辛辣な意見が多いように感じました。それこそ赤ペン先生のようにあのカットはダメ、レイアウトがおかしい、口パクのタイミングが、人間が描けていない……等々。

 これはプロとして、同業者として、他人の作品にも誠実であろうという姿勢の現れなのだと思います。しかも鉄火場な現場を生き抜いてこられた方々ですから言葉に説得力があります。

 私の場合は、映画を観たときに「あ、俺ってこういうのが好きなんだ」と気づかせてもらえた作品には手放しで褒めてしまう傾向があります。つまり映画そのものを評価してるというより、自分の嗜好を発見したことに喜んでるんですね。あわよくばそれを苗床にして作品づくりに活かせないか目論んでいるわけで……不純きわまりないですね。

 そんなわけで、映画『コクリコ坂から』個人的にはとてもいい作品です!

 近々また観にいきますよ!


Posted: 水 - 7月 20, 2011 at 12:15 午後