バケツの穴


 小学生の頃、給食の時間に教室のスピーカーから毎回エンドレスで流されていた音楽は、パブロフの犬の実験例を持ち出すまでもなく、今でもしっかり脳みその奥深くに刻み込まれてまして、それはショパンの「子犬のワルツ」だったりボッチリーニの「メヌエット」だったり、クロードチアリのギター「禁じられた遊び」だったりするわけだけど、その中で正確な歌詞も題名もわからず、メロディの断片だけがかろうじて思い出せるくらいの、しかしいまでも強烈に印象に残ってる謎の歌があります。

 たぶんそれは、どこかの外国の民謡を日本語の歌詞に訳して歌ったもので、

『バケツに穴があいた。水が汲めないと仕事にならない。だったら穴にワラを詰めたらどうか。ワラを刈るには鎌がいる。鎌は錆びてて使えない。鎌を砥石で研げばいい。だが砥石で研ごうにも水が無い。水を汲むにはバケツがいる。』

 という、ロシア民謡の「1週間」っぽい感じの、短くて単純なメロディを延々繰り返す、ループな内容の歌。声色を使った男女が交互に掛け合いながらおもしろおかしく歌っていたように思う。

 いままでも何度かweb検索で調べたことはあるものの、有益な情報もひとつも無し。で、すっかりあきらめて何年も放置してたんだけど、昨日たまたま思い出し何気なく検索してみたら、数年前とは違いウソのように出てくる出てくる。あーびっくりした。


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 原曲は「hole in the bucket」というタイトルのアメリカのワークソング。作曲はC.Williams、作詩は不詳のようです。テレビのセサミストリートでも流れたそうですが、この歌を日本語に訳して1968年にNHKの「みんなのうた」で流したのが「バケツの穴」(訳詞・佐藤一公/編曲・東海林修)で、たぶん僕が給食の時間に聴いてたのはこれだと思う。NHKが小学校向けに販売してたんじゃないだろうか。

 検索してみたら、日本語歌詞が丸ごと出てたんですが、自分の記憶ではバケツの穴を埋めるための「ワラ」を入手するために「畑に麦の種をまいて育てて刈り取る」という壮大な行程があったように思ってたけど単なる記憶の創作だったみたい。

 最近になってどうして急に検索結果が増えたのかと思ったら、どうやら2004年の4月に発売された「NHKみんなのうたDVD12巻セット」の第3集に「バケツの穴」が収録されていたようですね。

 ちなみに iTunes Music Store で検索してみたら「hole in the bucket」(←iTunesが起動します)のキーワードで4曲ほど見つかりました。NHKのみんなのうた「バケツの穴」も置いてくれればいいのになあ。

【関連リンク】
・NHKエンタープライズ/みんなのうた<商品情報トップページ>
・人力検索はてな/バケツの穴・質問への回答


Posted: 水 - 10月 19, 2005 at 07:12 午前