画材の旅・まとめ


 先日画材屋を回って何種類かチョイスしてきたので、普段の漫画作業と同じようにパソコンに600dpi取り込んで、モノクロ2諧調化した結果をまとめてみました。

 ※消しゴムは格子状に書かれた線の部分のみに往復運動で20回(計40回)かけてます。
 ※左は8bitグレーでスキャンしたもの。右はそれを「デジコミツールズ」で2諧調化したもの。
 ※あくまでも「定規で使えるのか」「消しゴムに強いか」という視点で書いてます。

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 ●日光・丸ペン【付けペン・開明墨汁】
 いつも漫画の背景用に使ってる付けペンです。ゼブラの丸ペンより固めで細い線が描けるので重宝してます。墨汁はつなぎにニカワが使われてるので消しゴムにはかなり強いですね。いちおう他の市販ミリペンとの比較用に。

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 ●セーラー・まんがペン 極細【万年筆タイプ・超微粒子顔料インク】
 今回買ったペンの中でいちばん気に入ってるペンです。万年筆タイプなのにペン先が薄くてシャープな形状なので、面取りされてない定規でも液漏れせずに普通に線が引けます。顔料インクってことで多少消しゴムには弱いけど、40回かけてこの程度ならまったく問題ないですね、実用の範囲内です。極細といいつつミリペンに較べてちょっと太めなんで建物などの背景の主線などに使うといいかも。おすすめです。(訂正・セーラーではなくToolsの限定商品でした)

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 ●タチカワ・新ペン先 School-G【万年筆タイプ・速乾性特殊インク】
 新ペン先のGペンバージョン。こんなのが出てたんですねえ。前の新ペン先はペン先がぼてっと厚かったので定規を使った線には不向きだったけど、今回のGペンタイプのものは定規でも液漏れせずに使えますね。ただそれなりにペン先に厚みがあるので、定規を使って狙った場所に的確に線を引けるかどうかというとちょっと難しいですね。驚く事にこのペンは線に強弱が作れて「抜き」表現ができるので、集中線を引くときには良いかもしれないです(私は抜きが下手なので画像のはいまいちですが)インクは書いてるときも乾いてた後も墨汁と似てますね。消しゴムに非常に強いです。しかしインクに多少粘性をもたせてあるためか、描き初めの時やペンを早く動かしたときに線がかすれる場合がありますね。惜しい。

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 ●パイロット・HI-TEC-C 0.3【ボールペン・ゲルインク】
 ボールペンは漫画の画材としてどうだろう……といままで敬遠してたんですが、実際使ってみるとなかなかいい具合です。ボールペンはサインペンやミリペンと違ってペン先が非常に頑丈に出来てるので、筆圧に神経を使わずに作業できます。パイロット「HI-TEC-C」の一番良いところはペン先の形状が長くて細いところですね。このありがたさは定規で線を引くときにわかります。消しゴムにも非常に強いです。値段も安くて、わざわざ画材屋さんにいかなくても本屋とか大きめのスーパーなどで手に入ります。定規を使った細かいタッチ用などにイイと思います。

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 ●パイロット・HI-TEC-C 0.25【ボールペン・ゲルインク】
 同じ「HI-TEC-C」シリーズだけど、こっちのほうは「0.3」と違い画材屋さんへ行かないとなかなか売ってないと思います。黒インクの濃さもしっかりしていて、定規を使うとかなり細い線が引けるんだけど、スキャンして「デジコミツールズ」で2諧調化すると、消しゴムをかけてないのに線がかすれてしまいました。「デジコミツールズ」の「ごみ取り機能」は非常に便利なんだけど、あまりに線が細いと影響が出るのかも。

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 ●コピック・MULTI LINER 0.05【ミリペン・顔料インク】
 コピックマルチライナーは個人的に好きで、いままでずっと使ってたんだけど、消しゴムにはとても弱いんです。でもこのペンは他のコピックマーカーとの相性を最優先に考えて作られてるので、消しゴムに弱くてもしょうがないと言えばしょうがない。

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 ●ぺんてる・GRAPH PEN 0.05【ミリペン・顔料インク】
 これもコピックと同様に顔料インクのミリペンなんだけど、コピックよりも消しゴムに強いはずなのに2諧調化の結果が悪かったのは、もともと黒インクの濃度が薄いからなんでしょうね。


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 ●くれ竹・筆ごこち【サインペン・染料インク】
 筆ペン風サインペンというなんだか位置づけがよくわからないペンですが、筆ペン風でありながら定規で線が引けたりします。力強い集中線や流線などに使えるかもしれません。でも基本は手書き用ですね。染料インクなので乾くと消しゴムにはびくともしません。


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 ●くれ竹・筆ごこち 極細
 同じく「筆ごこち」の極細バージョンですが、こっちのほうは定規を使うとかなりの確率で液漏れします。これも手描き線向きです。


【まとめ】

 個人的にはセーラーのまんがペン(訂正・セーラーではなくToolsの限定商品でした)がめっけものでしたね。ペン先もペン軸もよく考えられてて、じつに描きごこちの良いペンでした。ただ替えインクを売ってる店をまだ見つけてないんで、そこがちょっと不安です。細くて消しゴムに強い線が必要なならば、ゲルインキを使った極細ボールペンがおすすめです。ただこれは年数経過によるインクの劣化がどの程度なのか、今はまだよくわかってないので、アナログ原稿にこだわる人はちょっと注意が必要かも。

 消しゴムに強いミリペンは無いかと画材屋さんでめぼしいミリペンを試し書きしてみたけど、油性でもないかぎり水性ミリペンは総じて消しゴムに弱かったですね。例外として「タチカワ」のミリペン(名前忘れた)が消しゴムをかけても薄くならなかったんだけど、うっかり買うのを忘れてしまいました。ていうか、自分の中ではすでに「パイロット・HI-TEC-C」と「セーラー・まんがペン極細」の組み合わせでいこうと決めてたんで、いまから店に引き返すのもなんだしまあいいかってカンジでした。それにしても「タチカワ」は意外にインク関係に強いですね。ちなみにそのタチカワのミリペンは鳥山明さんが好んでよく使ってたそうです。おわり。


Posted: 火 - 9月 13, 2005 at 06:43 午後